円筒ハニカムコア構造の3Dプリント方法 Math / 数学コンテンツ|3Dプリンタでの造形フロー
円筒ハニカムコアを「実物」に。Python → STL → スライサ → 3Dプリントまでの流れをまとめています。

円筒ハニカムコア構造を3Dプリントするには?

WebデモやPythonで設計した円筒ハニカムコアを、実際に3Dプリンタで出力するための手順書。
① ジオメトリ生成 → ② STL出力 → ③ スライサ設定 → ④ 造形と後処理 までをざっくり整理します。

🧱 Honeycomb Core
🖨 3D Printing
🧪 試験片づくり

目次

3Dプリント全体フロー

  1. 設計・ジオメトリ生成
    Pythonコードで円筒ハニカムコアの頂点座標を計算し、ポリゴンメッシュを構築。
  2. STL出力
    生成したメッシュを .stl としてエクスポート。
  3. スライサ設定
    Cura / PrusaSlicer などでレイヤ高さ、壁数、インフィルなどを設定。
  4. 造形
    プリンタにG-codeを送り、実際に造形。
  5. 後処理・評価
    サポート除去・サンディングなどを行い、剛性や変形挙動を観察・評価。
ポイント:
円筒ハニカムは「薄肉」「細かいセル」になりがちなので、
  • ノズル径と壁厚の関係
  • レイヤ高さ(z解像度)
  • サポートの有無
が造形成功率にかなり効いてきます。

1. PythonからSTLを生成する

まずは 理論ページ で導出した 頂点座標(A, B, C, D を回転コピーしたリング)から、3Dメッシュを作ります。

代表的な方法は、Pythonで trimeshnumpy-stl を使って三角形メッシュを組むやり方です。

# 擬似コード(イメージ)
import numpy as np
import trimesh

# ここで 3D の頂点配列 vertices (N×3) と
# 各面の頂点インデックス faces (M×3) を作る
vertices = ...
faces = ...

mesh = trimesh.Trimesh(vertices=vertices, faces=faces)
mesh.export("cylindrical_honeycomb_core.stl")

※ 実際のコードは GitHub リポジトリ側に置いておき、ここでは考え方だけを解説する構成でもOK。

メッシュ構築の考え方

  • 2Dリング(台形リング)を z=0, z=h など高さ方向に複製
  • 側面を「長方形→三角形2枚」に分割して faces を作る
  • 壁厚 t を持たせたい場合は、内側/外側の2枚殻を作ってブーリアン演算
メッシュイメージ

2. スライサ設定の例

出力した .stl をスライサ(例:Ultimaker Cura / PrusaSlicer / ideaMaker 等)に読み込み、 造形条件を決めます。ここでは一例として PLA 材での基本設定をメモ。

  • ノズル径:0.4 mm(セル壁厚と合わせる)
  • レイヤ高さ:0.15〜0.2 mm
  • 壁ライン数:2〜3本(剛性が欲しい場合は厚め)
  • トップ/ボトム:必要に応じて0〜数層
  • インフィル:基本 0%(セル構造自体がインフィル)
  • 印刷速度:40〜60 mm/s 程度
  • サポート材:原則オフ(必要なら一部オン)

注意ポイント

  • セル壁がノズル径より細いと、スライサ側で線が消えることがある。
  • 「壁の最小線幅」や「Thin Wall 設定」を確認しておくと吉。
  • 円筒の軸方向をZ方向にするかXY平面に寝かせるかで、剛性の方向性が変わる。

3. 造形時の工夫

造形方向の選び方

円筒ハニカムコアは、軸方向の荷重を想定していることが多いです。

  • 軸方向を Z に向けると、層間剥離の影響を受けやすいが形状はわかりやすい。
  • 軸方向を XY 平面内に寝かせると、層間剥離に強くなるがサポートが増えることも。

ベッド密着性

  • ブリムやスカートを有効にして、細い壁がベッドから剥がれないようにする。
  • ベッド温度、初層速度、ファン設定も確認(PLAならファンON、初層は遅めなど)。

材料の選択

  • 最初は PLA で試作→形状確認。
  • 耐熱性や靭性が欲しい場合は PETG やナイロンも検討。

4. 後処理と評価

造形後はサポート除去・サンディングなどの軽い後処理を行い、変形しないよう注意しながら評価を行います。

  • サポート除去はペンチ・ニッパ・デザインナイフなどで慎重に。
  • 必要に応じて端部を平面出しして治具に固定しやすくする。
  • 剛性評価では「荷重−変位曲線」や座屈モードを観察。

簡易評価の例

卓上でできる範囲の簡易評価の例:

  • 一定荷重(おもり)を載せたときの変位をノギスやゲージで測る。
  • スマホ動画+画像解析で曲げ・ねじり変形を追う。

トラブルシューティング例

壁が途中で途切れる / 穴だらけになる

  • ノズル径より細い壁になっていないか確認(l, t の見直し)。
  • スライサで「Thin Wall」を有効にする。
  • 壁ライン数を増やす・押出量を微調整する。

円筒が楕円っぽく歪む

  • プリンタのXY方向のキャリブレーションを確認。
  • ベルトテンション・ガタをチェック。
  • ベッド密着性を高めて、造形途中で反り返らないようにする。

層間で割れやすい

  • 造形方向を検討し直す(軸方向と層の向き)。
  • ノズル温度を少し上げる・冷却ファンを弱める。
  • 材料を変更(PLA→PETGなど)。